2021年05月20日から21日にかけて、日本経済新聞社はアジアの未来国際交流会議を開催し、オンライで配信しました。
ファム・ミン・チン首相はオンライにて参加し、講演を行いました。
こちらではその全文をご紹介します。
「会長様
指導者の皆様
御列席の皆様
本日、第26回国際交流会議アジアの未来へ御出席・御講演できまして、大変うれしく思います。初めに、大変意義深いこの会議へお招きいただきました日本国政府及び日本経済新聞社に御礼申し上げます。この場をお借りし、ベトナム政府を代表し、また個人的にも指導者及び御列席の皆様へ最良の御挨拶・御祝辞をお届けします。
御列席の皆様
日本経済新聞社が決定した「アジアが拓く新時代新型コロナ渦の先へ」との本会議のテーマが非常に正しく相応しいと歓迎申し上げます。コロナ後の経済回復と発展及びコロナ対策のアジアの地位と役割を表現しています。コロナ渦が世界と地域で迅速で複雑、想定外的且つ予測不能に変化し、各国の社会経済と国民生活に強力で深い影響を及ぼしている背景、本会議が開催されました。
コロナ渦の影響により、制度、インフラ、技術の発展の差等、自然災害、環境汚染、気候変動等の伝統的・非伝統的安全保障、アジアが直面している課題がより厳しさを増しています。それに、コロナ渦が世界の経済秩序、経済構造、グローバルガバナンス、経済活動様式、社会生活運営を深く変化させています。
御列席の皆様
アジアが世界の政治及び経済において大変重要な地位を担っており、新時代の構築に広範且つ多面的な影響を与えます。数十年間にわたり、アジアが不景気、後退、自然災害を着実に乗り越え、国際経済の非常に重要な原動力となって来ています。最近の疫病対策と経済回復におけるアジア諸国の初歩的な成功が変化している世界の中、発信力強化中の地域の活力、猛烈な勢いを証明しています。
しかし、第二次世界大戦後、人類が直面している最大級危機と言われるコロナ渦が世界と地域の局面、全ての国の社会経済に深い影響を既に、今も及ぼしており、これからも及ぼします。今こそ、各国が矛盾、不一致を棚に上げ、団結、支援連帯、助け合いをすべきであり、コロナ渦を共に勝利し、乗り越えようではありませんか。困難時こそ、困難と課題を共に乗り越えるために、我々は、より、団結、平等協力、連携を強化すべきです。特別状況こそ、特別で毅然とした強力な対策と取り組みを実施すべきです。経済がコロナ渦を着実に乗り越え、将来の持続可能且つ包摂的な発展基盤を構築し、「コロナ後の時代の一層の平和、協力、発展のアジアを共に建設する」ために、ある程度の突破口の新たな協力スキームが必要です。
共に発展・協力するために、強靭化、適用能力、内力の強力な発展、国際協力強化、国民を中心とし、善良な文化価値を基盤とし、困難と課題を原動力とする方針の下で我々は以下の6分野を地維新に強力すべきです。
第1に、質の高い戦略的インフラ整備が短期の経済成長活性化の有効策であると同時に、長期の戦略的突破口でもあります。今の経済成長率に伴い、北から南まで、東から西までの連結性と経済発展への支援の着実なインフラシステムがアジアにとって必要です。アジア開発銀行により、2030年までアジア諸国にとって、1兆7千億米ドル年間インフラ整備の投資額が必要です。従って、日本政府及びパートナーによる質の高い戦略的インフラ整備に関するイニシアティブを歓迎します。資金調達の新たなアプローチと発想、民営セクター参入奨励、官民連携インセンティブ化、公的投資による民間投資の誘致を実施すべきです。
第2に、世界の貿易、投資、サプライチェーンの流れを確保するために、2国間にも多国間にも効果的且つ平等な経済連携、経済統合、協力プロセスを促進すべきです。コロナ後の回復のアジアの回復が地域内及び域外との貿易と投資の維持力に大きく依存しています。この取り組みがグローバル、地域、広域地域から各国の国内改革まで全てのレベルにおいて実施されるべきです。CPTPP、RCEPのようなルールに基づく開放的国際経済連携の取り組みが地域の経済発展と回復過程を更に推進します。同時に、関係諸国が対策と経済発展との同時進行、物品物流、国民往来、サプライチェーンと円滑な生産・ビジネスの確保の条件に合わせる地域経済の運営方法を共に議論し、捜索すべきです。
第3に、科学技術、デジタル化、DXにおける協力強化こそ、コロナ後のアジアの変換のための原動力です。ダイナミックに膨らんでいるデジタル経済の危機抑制と利益最大限発揮のために、我々は以下のように協力を強化すべきです。(1)発展途上国をはじめ、デジタル化とデジタルインフラの効果的な整備;(2)電子政府構築及びデジタル政府、デジタル経済、デジタル社会への向け;(3)国民のデジタルスキルと理解力の向上、労働者の新たなスキルアップ;(4)サイバーセキュリティ対策、データ保全、関税管理、通信販売の物流システムの確保の制度構築連携です。
第4に、コロナ後の最初の回復過程においても効果的かつ持続可能なクリーン成長を推進します。これは、環境課題と気候変動の解決、生態学的均衡確保、より持続な基盤に基づく経済発展の方向性構築に寄与します。我々は、天然資源の持続管理、好循環経済、ゼロ・エミッションの成長モデル構築の経験共有と技術移転を促進し、気候変動パリ協定の実施を努力し、2030年までの国連持続可能な開発目標を遅滞なく完成し、海洋プラスチックゴミの国際条約を早期で妥結すべきです。
第5に、コロナ対策協力強化、公共医療、社会保障の能力向上、将来の医療課題の対応力です。ベトナムは、コロナ対策の経験を各国と共有して行く用意があり、同時に、ワクチンの分配の平等なアクセスと生産、研究をはじめ、関係諸国から御支援・御協力を期待しています。この緊急事態こそ、ワクチン生産と分配は一国・一社の話だけではなく、国民健康第一との目標の人道課題になっており、現在の統合下で他国で蔓延しているのに、自国だけでは安全が確保できないものです。従って、最優先課題は、より開放的、切実且つ効果的に平等でワクチン生産技術の移転推進、知的財産権の制限緩和、ワクチン供給源への平等で迅速なアクセスと確保です。同時に、アセアン感染症センター設立のようなコロナ渦及び将来のその他の感染症の対策の地域協力スキームの設立、または発揮を検討すべきです。
第6に、コロナ後の回復、発展と繁栄の絶対的な条件が平和、安定、協力、発展の国際環境の確保です。世界と地域は、未曽有の喫緊課題の対応のためにリソースを動員している中、一番重要な先に各国がこの問題に責任感を持ち貢献し、お互いを尊重しあい、互恵的且つ平等に協力すべきです。南シナ海問題について、1982年海洋法の関する国連条約と国連憲章をはじめ、法の支配に基づき、平和的な手段により、係争と不一致を解決し、多国間協力スキームを発揮し、DOCを完全かつ効果的に実施し、COCの早期妥結のために緊密に協力し、地域の平和、協力、発展及び南シナ海の航行と上空飛行の自由を維持すべきです。ベトナムは、世界の国民の裕福と幸福のために、共通の利益及び地域と各国それぞれの発展、繁栄のために、責任感を持ち、参入し、平和、安定、発展と団結のために各国と共に培っていく用意があります。
ベトナムでは“火は金を試し、困難は人の力を試す”という言葉があり、日本では“雪に耐えて梅花麗し”という名言があります。我々は、団結し、「ポストコロナ時代のアジアを共に作り出す」と強く確信します。この信念は、アジアのアイデンティティと価値から発出されます。それはコミュニティ精神、視野、粘り強さ、勇敢、規律、臨機応変、そして向上心の価値です。
御列席の皆様、
アジアの未来については、地域の発展に重要な貢献をしてくれた世界における先進な経済大国である日本の役割を除いてはなりません。アジア各国は日本と一緒に2008年の金融危機を乗り越え、世界経済成長の原動力となり、現在は引き続きコロナ対策を緊密に協力し合っています。アジア各地には日本の効果的な支援による交通インフラをはじめ、エネルギー、農業、医療、通信、技術、文化、教育や公衆衛生に関するプロジェクト、建造物が点在しています。
ベトナムー日本の広範な戦略的パートナーシップ関係は、高い政治的信頼に基づき、各分野において引き続き良好、力強く、そして実質的に発展しています。ベトナムは、これまで40年間我々の社会、経済発展に対し、有難い支援をしてくれた日本国政府及び日本国民を高く評価します。ベトナムは、日本の地域連携、経済連結、持続的な発展に対する努力を歓迎し、日本が引き続き地域の平和、安定、協力と発展において重要な役割を果たして頂くと願っています。この機会に、菅義偉総理の果敢で強かなリーダーシップの下で日本政府及び国民が引き続き国家発展に新たな成功が得られ、また2021年オリンピック・パラリンピックが成功裏に開催され、コロナ禍における世界団結の象徴となり、菅義偉総理の発言の正しさを証明する行事になると確信するとともに祝福の言葉を申し上げます。
御列席の皆様、
国際社会とともに、この一年以上、ベトナムはコロナ対策において大変努力してきました。私たちは、これまでベトナムのコロナ対策及び洪水、干ばつ、自然災害の被害克服に日本をはじめ地域各国の積極的な御支援について感激と心より感謝の言葉を申し上げます。政府の高い決意及び国民の賛同を得て、私たちは効果的な感染防止対策を図りながら、社会・経済の早期の回復と発展を促す「ダブル目標」を集中的に実施しました。 幾つかの国際機関の評価では、ポストコロナの経済回復の可能性が最も良い国の中にベトナムが入っており、その源としては政治と社会の安定、民族大団結の力、政府のタイムリーかつ効果的で力強い措置、比較的頑丈なマクロ経済学の基礎ということです。得られた結果を踏まえて、私たちは困難と挑戦を乗り越え、民族の伝統ある文化・歴史の深み、ベトナムの価値そして天然資源という3つの柱に基づいて国を発展させます。
発展に関して私たちの観点は、第一に、科学技術、イノベーションとデジタルトランスフォーメーションに基づいて迅速かつ持続的な発展、経済と社会・文化・環境保護及び気候変動適応に協和でき、効果的かつ調合性を確保できる発展です。成長モデルの刷新、経済の再構築、グリーンエネルギーの発展、市場のニーズ、新しい産業と労働効率を方向性とします。第二に、発展体制の十全的、均一化、現代的、統合的に完成することが前提条件であり、各経済セクターにとって有利、健全的かつ公平な投資と経営環境を作り出します。第三に、国の繫栄、幸福、自己向上心を発展させる願望の促進するとともに国を発展するために国民全体の大団結の力を発揮します。人間の価値を最大限発揮させ、発展の最高目標において人間が主体、中心、最重要な力の源と原動力とします。単純な経済成長のために進歩と社会の公平を犠牲にしません。第四に、自主的な経済を作り出すために、テクノロジーを手に入れ、積極的に社会統合を進め、国の経済の適応性と耐久性を高める。第五に、独立的、自主的、多様化、多角化の対外路線を実施し、効果的、広範的かつ積極的に国際統合進め、国際社会における責任のあるメンバーです。
御列席の皆様、
活発で潜在力を秘める一億もの人口をもつベトナムには、これからも強く発展していくために、必要な要素、体制をはじめ政策、インフラ、地理的位置、安定的な社会経済、投資環境、そして人的資源等すべてを整っています。今後10年間において、体制の完備および人材能力の向上、インフラの一体化を推進、特に戦略的なインフラの整備など3つの戦略的突破を集中的に展開します。中でもデジタル経済やグリーン経済、気候変動に応じる循環型経済に関する事業を優先して参ります。
著しく発展していく経済はベトナム国内の企業だけでなく、地域および世界の企業にも投資、ビジネスの機会をもたらします。我々ベトナムは世界の皆様とあらゆる分野、戦略的インフラからエネルギー、製造・裾野産業、環境、高質農業、電子、IT、バイオテクノロジー、スマートシテイ、そしてロジスティックスなど共に事業を拡大、投資していく準備が整っています。ベトナム政府は、引き続き投資環境を整備し、海外の投資家により投資しやすい状況を提供することで、皆様と共に成功を味わい、また、客観的な要因により生じるリスク等も分かち合います。
御出席の皆様、
平和、安定、発展と繁栄を目指し羽ばたくアジアの姿は、地域の国々の共通の願いです。各国が団結、平等、そして各国政府が高い決心を貫き、国民と企業と一緒になっていく事こそがアジアを明るい未来へ導く鍵です。団結、自立と自己向上の精神、絶え間なくイノベーション、何より「自らの力、知恵、このアジア大陸の土地、空、海」を頼りに必ず「無を有に、難を容易に、そして不可を可能にする」ことができます。世界が新たな時代に身を転じていく中で、アジアには自らの位置とその役割を形成する機会と力を持っており、まさに「アジアこそが未来、アジアと共に未来へ」と確信して皆様にお伝えできます。
御清聴ありがとうございました。
本日の会議のご成功をお祈り申し上げます。」
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